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My Lovely Days

ラッキーのおはなし

お疲れさま...

 平成10年8月15日、土曜日。夜11時頃。いつものようにラッキーが散歩をねだって鳴いた。
 数日前から、いったん座り込んでしまうと、1人で立ち上がれなくなってなってたの。散歩の途中でも、何回かしゃがみ込んでしまって、そのたびに「ヨイショ」ってラッキーの腰を持って、立たせてあげる。

 その夜は、普段よりしゃがみ込んでしまう回数が多かった。
 数メートル歩くごとにしゃがみ込んでしまってた。
 「あぁ、そろそろ覚悟しなきゃな」って思ったんだ。

 8月16日、日曜日。朝10時頃に鳴き声が聞こえた。
 また、しゃがみ込んでしまって立てなくなってたの。
 立たせてあげると、1人で散歩に出かけた。
 10分くらいで戻ってきたけどね。

 午後1時。ラッキーの姿を探したけど見あたらない。
 いつもの縁側の下にも、散歩コースにもいない。
 そういえば、鳴き声もしばらく聞いてないことに気付いた。
 少し歩くのもやっとだから、そんなに遠くに行けるはずはないのに。

 探してると、近所の子供達がラッキーを見たって教えてくれた。
 その場所は、家から少し離れた空き地。
 そこに行くには、急な坂を下らなきゃいけないの。
 今のラッキーに降りられるとは思えなかった。
 まさかと思いながら、教えられた場所に行くと、空き地にある、浅くて大きな窪みのなかにラッキーはいた。
 眠ってるみたいな顔して、横たわって。
 体は少しだけ硬くなっていた。

 哀しいより何より、「お疲れ様...」って思ったの。
 最後まで、寝たきりになることもなく、病院にかかることもなく、元気でいてくれたラッキー。
 何で、あんな場所に行ったんだろう。
 自分の死期を感じて、その場所を選んだのかな。
 何を思って歩いて行ったんだろう。
 そんな力がどこに残ってたのかな。
 それを思うとラッキーは、すごい犬だったなって思うの。
 強い犬だなって思うんだ。

 今頃、天国で若い頃のように走り回ってるよね。
 昔の仲間たちと、またケンカでもしてるのかな...。

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