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平成10年6月末、プー太郎がご飯を食べなくなっていた。
でも、もともとプー太郎はあまりたくさん食べない子だったの。ちょっと機嫌を悪くすると、すねちゃって小屋の中に入って出てこなくなったり。
そのころ、梅雨であまり遊んであげられなかったから、「あら〜、またすねちゃってるんだね〜」なんて思ってた。
そんなんじゃなかったんだよね。苦しんでたんだよね。
何で気付くことができなかったんだろう。
6月30日の朝、6時過ぎ。いつものように出勤前に3匹の顔を見に行った。
ラッキーは、相変わらず縁側の下で眠ってる。
起こさないように挨拶して、プー助とプー太郎のところへ。
2匹がいる柵の前に行くと、プー太郎は起きてた。小屋のそばに座ってた。
プー太郎はいつもちゃんとお座りして見送ってくれるの。プー助は寝てるんだけどね。
でも、その朝のプー太郎は様子がおかしかった。
眼の下にはたくさんの目やにがたまってる。
その時にすぐわかるべきだったの。
今ならわかるよ。どんだけ危険な状態だったのか。どんだけ苦しかったのか。
今ならわかる。プー太郎が教えてくれたから。
でも、その時はそんなプー太郎を置いて、出勤してしまった...
職場に着いてから、家に電話を入れた。朝7時半だった。
プー太郎の様子がおかしかったから見てきてねって。
心配だったけど、最悪の事態になるとは思ってなかったの。だって、つい1週間前まで元気に散歩してたんだから。
だけど...
10時半。母から職場に電話がかかってきた。
「もう、楽にしてあげようね...」
お医者さんによると、もう助からないとのこと。安楽死だ。
「いいよ...」って行った後、トイレに駆け込んだ。職場で泣けるところは他にないもの。
涙が止まらなくて、「ごめんね」が止まらなくて。
手遅れになるまで、気付いてあげられなかった。
ただ、のんきに「すねちゃって〜」なんて思ってた自分が許せなかった。
私からの電話の後、母がプー太郎の様子を見に行ったとき、プー太郎は、小屋から少し離れたところで横になってたって。
私が背中を向けた、その後を追って、近づいてきてたのね。
プー太郎は、つらくて助けて欲しかったんだね。
父が言った。
見るとつらいだろうから、お前が帰って来る前に庭に埋めるよって。
そんなの駄目だよって答えた。
ちゃんとお別れしないと行けないもん。
プー太郎にちゃんと「ごめんね」って言わなきゃ。
職場は早退させてもらって、急いで帰った